医師に大切なこと
1. 人間性,2. 理解力,3. フットワーク,4. 感性
研修医の皆さん 手に負えない急性期は 救急科専門医に相談しましょう。 

消化器関連で教授を悩ませる珍事
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Q1: PTPシート誤飲 夜中なので明日来てね ???

「夜中なので,明日また来て下さいね」・・だめだめ 顔面パンチ。明日では,いけません。薬の包装には,プラスチックにアルミなどを貼り付けた PTP包装シート(Press-Through-Package:PTP 包装) が使われます。この誤嚥をする老人が時折認められるのが救急外来での困った現象の一つです。
 1996 年以前の PTP包装は,縦横にそれぞれミシン目が入って1錠ずつ切り離せる構造でしたが,錠剤と一緒に PTP 包装を誤飲してしまう事故が頻発したために,1996年3月の業界団体の自主申し合わせにより,ミシン目が一方向となり,1錠ずつに切り離せないような構造となりました。さらに,誤飲の注意表示を増やすなどの対策がとられ,1998年1月には国民生活センターからも消費者への注意喚起が出されました。しかし,その後も依然としてPTPシートの誤飲は後を絶ちません。
 私が当直の時,緊急内視鏡を依頼して,消化器内科医を呼びました。当直医は,① スーパーマンのように走ってやってくる,② 時に階段を飛ぶ,③ なんでもできるという夢を,若き僕はもっており,その通りに生きてきましたが,雰囲気が違う。「朝方に,そんなものを間違って飲みやがってってって・・・。」どこまで,てってってを続ければ笑いが取れるのだろうか。血走った目の●●器内科医・・完全に怒っている。気持ちはわかるが,当直の時に全力を出せる医師に育って初めて,一人前である。若いときほど,医師は自分の時間を意識する傾向がある。当直とは,仕事であり,他人のための時間である。教育者としては,患者さんにも,若い医師にも教育を施さねばならない。PTPシート誤飲は,(原則として)そのまま返してはいけません。原則として緊急内視鏡として下さい。
 食道穿孔と縦隔炎,十二指長穿孔と腹膜炎,S状結腸穿孔と腹膜炎,そのような消化管穿孔の可能性を考慮して,早くPTPシートを取り出しましょう。当医局などの救急科専門医と集中治療専門医は,関連病院等の救急科勤務で消化器内科と連動して,緊急内視鏡をできるようにするとよいです。研修医の皆さん,「明日,●●器内科受診して下さいね・・」,これはダメです。「今です・今!!」 きちんと,当日の早くに,緊急内視鏡検査としましょう。いつも大変お世話になっております。研修医の皆さん,気をつけて下さい。
文責 松田直之 2014年11月4日(火)(友引)

Q2: サンポールを飲んできたというのですが,胃洗浄して,帰宅としていいですか?

ポール君 何を言ってるんだ。サンポールに,胃洗浄や胃管挿入は禁忌です。ミルクを飲んでもらいます。これは,学生時代に習っていると思います。
 サンポールは「酸」,ハイターは「歯が痛くなるアルカリ」です。酸やアルカリの誤飲は,胃洗浄してはいけません。サンポールは,大日本除虫菊(金鳥)から発売されているトイレ用の洗剤です。1960年代にトイレサンポールとして発売され,現在も,トイレやタイルの洗浄に使用されています。サンポールは,トイレマジックリンとともに「酸性剤」であり,他の漂白剤やカビ取り剤などの塩素系と混合すると塩素ガスを産生する可能性があり,危険ですので,「まぜるな危険」と表記されています。サンポールの成分は,塩酸9.5%,および界面活性剤アルキルトリメチルアンモニウム塩です。症状としては,食道浮腫,食道穿孔,食道出血,縦隔穿破・縦隔炎,胃粘膜浮腫,胃出血,胃穿孔,十二指腸穿孔などを考えることが必要であり,究極の自体として「食道離断術」を念頭に置きます。一般に,ミルクを飲むことは,ハイターなどのアルカリ剤に有効ですが,酸での厳格なデータを私は持っていませんが,サンポール誤飲でもミルクを飲んでもらっています。サンポールやマジックリンなどの酸や,ハイターなどのアルカリは,食道穿孔を起こす可能性があり,一般市民の皆さんは「絶対に」飲んではいけません。かなり苦しむことになります。医療従事者は,胃洗浄は,してはいけません。胃管を挿入してもいけません。胃管の接合面に潰瘍ができやすくなります。いかんなあ・・
腐食性薬物で気をつけること:1. 気道浮腫の評価,2.気道確保の評価,3.気道と呼吸の観察:兎に角,気道に留意すること!

腐食性薬剤による食道損傷のGRADE分類
Ⅰ  粘膜浮腫
Ⅱa 出血・びらん・水疱形成・潰瘍・浸出液
Ⅱb 全周性潰瘍
Ⅲ  多発性の深い潰瘍・黒色化変性
Ⅳ  食道穿孔・縦隔気腫の合併

※ CTでフォローすること,初病日に内視鏡検査をすること,DAY5〜DAY10の内視鏡検査では易出血性と穿孔の可能性が高くなることに注意,DAU10-DAY14で食道の落着傾向を認めるのが一般的です。
文責 松田直之 2014年11月4日(火)(友引)

食道浮腫.jpg胃粘膜浮腫.jpg

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