【3】救急外来 注意事項 (9~16)

9.入院のための主科決定の基本ルール

□ 入院担当診療科:ベッド確保,入院手続き,入院指示などは,入院担当科の当直医が行います。
□ 通院歴のある患者さん:かかりつけ患者さんで,その主病態が原因でERを受診した場合,入院が必要であれば,原則としてその主専門診療科に入院対応を委ねます。かかりつけの専門診療科がある場合には,その専門診療科に入院主科決定を依頼します。
□ ERにおける単一診断:ERにおける病態診断により,入院が必要となる場合には主診療科をER担当医が決定させて頂きます。
□ ERにおける複合診断:単一診療科で対応できない重症度の高い場合などで,EMICU入室が必要な場合があります。たとえば,重症感染症,多発外傷,熱傷などは,救急科として対応し,重症であれば救急科が主治医としてEMICUで対応し,副科を必要とする場合には,専門診療科の皆さんに依頼をさせて頂きます。転院搬送,患者逆紹介も救急科が考えます。
□ ERを介した入院主専門診療科の最終判断:救急科長が持ちます。病床の空き状況,重症度,専門診療科依存度などより,多角的に主科を最終決定します。

注意事項 入院主科決定の心得
 1)主科がある場合は,主科に入院主科を決定してもらう。
 2)主科が決まらない場合,救急科長が最終主科決定権を持つ。
 3)救急科主科:重症急性期としてEMICUで診療する場合,重症感染症,多発外傷や広範囲熱傷などの救急科専門領域の病態。


10.救急搬送依頼対応とEMICU

 救急外来の「EMICU受け入れ可否の掲示」を,必ず勤務開始時に確認してください。EMICUが満床である場合には,3次重症救急患者さんの受け入れが不可能と評価します。原則として,SICUの空床か満床かは,ERの新規救急搬入の受け入れの考慮とはしません。

注意事項 
 1)EMICUの空き状況を第1優先課題として評価する。
 2)転院搬送を念頭に置いた総合的な受け入れ判断を行う。


11. 他の医療施設からの転院依頼・紹介診療

□ 他施設入院中:転院依頼内容を確認して,専門診療科に割り振りし,直接,専門診療科の当直医と話してもらう方針をとっている。転院におけるERでの受け入れは,生命に危機的な状態である場合のみであり,原則として,病棟への直入である。
□ ERでの診療が必要な場合:搬送時のバイタル不安定などの場合は,ERにおいて救急科が併診します。
□ 入院中ではない患者さんの診察依頼:ERで救急科を中心として,一般の救急患者さんと同様に診療に当たります。

注意事項 
 1)入院中の転院依頼:救急外来ではなく,当院の転院先の希望主科と直接に転院交渉をしてもらう。
 2)入院中ではない他院からの紹介:救急外来での通常診療として対応します。重症度や緊急度が高い場合,救急車での移動を勧めます。


12.ホットラインへの対応

 「名古屋市救急搬送システム」により,ERのホットラインが鳴ります。来院時心肺停止患者(CPAOA: cardio-pulmonary arrest on arrival)に対するon-line medical controlとして救急救命士の特定行為の許可を求められた場合には,救急直などの指導医が対応します。この電話対応に,研修医が施行することは禁忌です。ホットラインへの対応と受け入れの可否の決定は,ER当直スタッフ(救急科直・内科直・外科直)の順の責任とします。当院への搬入は,EMICUの空床状況により決定します。

13.多発外傷および広範囲熱傷の搬送依頼について

 多発外傷と広範囲熱傷の受け入れの判断は,日本救急医学会および社団法人日本専門医評価機構の定める救急科専門領域として,救急外来の救急科直,救急科専従医が行います。搬送依頼に先立って,あらかじめ手術室が緊急手術に対応できるかを,ホワイトボードの手術室ON/OFFで確認します。救急搬入の依頼に対しては,直ちに返答することが必要であり,ホットラインでの依頼後に,各科連絡などでの確認などで,10秒以上に返答を送らせてはいけません。詳細等の確認は,返答後に行います。受け入れるかどうかを即時判断できるように,救急科専従医は,勤務交代時に【3】4の記載に従って,受け入れの判断に対する準備しておきます。不必要に返答を遅らせてはいけません。

注意事項 

 1)ERでの初期診断の後に,救急科関連連携病院への診療紹介や逆紹介となる可能性があります。
 2)放射線診断とIVRを優先します。
 3)診察後に緊急手術の可能性が判断された場合は,麻酔科に連絡をします。
 4)多発外傷患者の搬入については,各勤務交代時に救急科内で受け入れられるかをあらかじめ評価し,調節しておくようにします。
 5)準備血液:外傷性ショックの場合は,血液製剤を準備します。
   a.輸血を必要とする場合の事前輸血オーダー
    不明患者としてのID登録を済ませ,そのIDでオーダーします。年齢が133歳と出てきます。
   b.大量出血の予想
    MAP 初回4単位あるいは6単位
    FFP 初回4単位 当院は4単位製剤のみ
    原則として頼むと,輸血製剤は20分以内に届きます。
    初期評価の後,追加オーダーを直ちに決定して下さい。
   c.届いた製剤はER内で通常の保存:MAP 4℃,FFP凍結保存,使用時に加温して下さい。

14.救急外来における暴言・暴力

 患者の暴力行為等で器物の破損やスタッフに危害が加わりそうな場合には,早急に救急外来に設置された防災センター直通の「非常ボタン」を押してください。装備を備えたガードマンが15分以内に到着できるように,防犯契約をしています。当院では,警務員に状況を目撃してもらい,傷害防止とともに,警務員から警察に連絡してもらうシステムとしています。

注意事項 
 1)防災センターの「非常ボタン」を押します。
 2)警備員さんを配置し,救急外来の安全を確保します。


15. 異状死と死体検案について

 来院時心肺停止(CPAOA)において,また,小児の突然死において,救急外来における死亡診断書の作成を禁止します。死体検案書の作成として下さい。詳細は,救急外来運営マニュアルに則って,傷病時の最寄りの警察署に死体検案を依頼します。その後,autopsy imaging(Ai)を行います。このカルテ記載については,救急科でも画像診断と最終評価として対応します。特に小児に関しては,虐待の可能性を念頭に置いて,適切な死体検案を施行して下さい。作成書類は,「死体検案書」です。

注意事項
 1)救急外来での死亡確認は,死体検案とし,死体検案書を作成し,死亡診断書は作成しません。
 2)異状死に対する死体検案の依頼は,搬送されてきた住所の最寄りの警察署に行う。
 3)小児の突然死では,虐待を念頭において,Aiを施行します。
 4)Aiで撮像したCT像に対して,頭部,頚部,胸部,腹部,臀部,四肢,骨,皮下として,所見を細かくカル敵記載して下さい。最終診断ができない場合は,保留として,後日の救急科専門医および放射線科の読影と評価に委託して下さい。


16. インシデントレポート

 救急外来の充実診療のために,インシデントの可能性があれば,インシデントレポートを作成し,提出して下さい。救急外来における診療連携,システムの問題,患者問題などの急性期医療体制の改善に役立たせて頂きます。あくまでも個人等の能力や技術等の中傷ではないことにご留意下さい。


注意事項 
 1)インシデントレポートの作成と提出をお願いします。
 2)救急外来のより良いシステム構築を絶えず目標とする。






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