電解質補正の約束事項
中心静脈路の使用

 カリウム補正については,EMICUにおける規約(使用マニュアル)が存在する。違反のないように注意する。さらに,小児における「カリウム」を含む電解質補正においては,マニュアルではない。小児科専門医との連動した投与量の確認とし,EMICUにおいては2名以上の担当医と看護師で確認した後の厳格投与とする。

カリウム投与規約NOGOYA
※ カリウムは,内服投与あるいは,中心静脈からの投与を原則とし,末梢静脈路輸液への追加投与を禁止とする。
※ カリウム補正の原則は,濃度200 mEq/Lかつ速度20 mEq/時以内である。
※ 緊急性が高く致死的である場合は,速度40 mEq/時までを許容するが,2カ所以上の中心静脈路より速度20 mEq/h以内の投与とする。
以上を,名古屋のローカルルールとしている。


■ カリウム(成人の場合): KCL(あるいはアスパラカリウム) 10 mL(10 mEq)を1時間で投与し,EMICUにおける血液ガス分析でK濃度を評価する。

■ マグネシウム(成人の場合):中心静脈路より,硫酸マグネシウム20 mLを1時間で投与する。

■ リン(成人の場合);中心静脈路より,リン酸ナトリウム20 mLを入れて1時間で投与する。
※ 析出の可能性より,リンとマグネシウムを同一の輸液路より同時に投与してはいけない。

指針設定
名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野 
2015年4月1日〜 東 倫子・田村有人(外来医長)・松田直之(EMICU部長)
2016年4月1日〜 東 倫子・海野 仁(病棟医長)・松田直之EMICU部長

低ナトリウム血症の診断

検査項目

■ 血漿浸透圧
■ 尿比重
■ 尿浸透圧
■ 尿電解質
■ ホルモン:AVP,コルチゾール,レニン,アルドステロン

 血漿浸透圧を評価して,高張性と等張性の低ナトリウム血症を除外するようにしてください。高張性低ナトリウム血症なら,高血糖や浸透圧利尿剤を考慮します。 等張性低ナトリウム血症なら,脂質異常症や高蛋白血症による「偽性低ナトリウム血症」を考慮すします。低張性ナトリウム血症以外には,原則としてナトリウム補正以外での対応を考慮します。
 その上で,血漿浸透圧<280 mOsm/Lであれば低張性低ナトリウム血症として,水中毒を除外します。水中毒は,希釈尿で多尿を特徴とします。そして,尿浸透圧は尿比重×25〜40でも概算できるので,急いでいる場合には尿比重を測定し,簡易式で尿浸透圧を評価して下さい。尿浸透圧<100 mOsm/Lにおいては,水中毒か溶質不足と評価します。水中毒であれば,水制限とします。
 一方,尿浸透圧>100 mOsm/Lの低張性低ナトリウム血症では,細胞外液量の評価が必要です。細胞外液量が少ないと評価した場合には,尿中ナトリウム濃度20 mEq/Lを境界として,尿中ナトリウム濃度<20 mEq/ Lであれば,嘔吐,下痢,3rd spaceによる影響を考慮して下さい。尿中ナトリウム濃度≧20 mEq/ Lであれば,塩類喪失性腎症や低アルドステロン症を考えます。
 また,細胞外液量が正常と評価できる場合は,SIADH(Syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone),甲状腺機能低下症,副腎機能低下症,生理的ADH 分泌亢進,鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム血症(MRHE:mineralocorticoid-responsive hyponatremia of the elderly)を鑑別します。細胞外液量が増加していば,心不全,肝不全,ネフローゼ症候群などとして,エコーを含めて,詳細評価として下さい。

2015年9月1日 松田直之・塩屋悠斗 (Naデータベース管理部門)

低ナトリウム血症の鑑別と治療.001.jpg






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