医師に大切なこと
1. 人間性,2. 理解力,3. フットワーク,4. 感性
研修医の皆さん 手に負えない急性期は 救急科専門医に相談しましょう。 

ER電解質異常におけるカルテ記載
1. 低ナトリウム血症 2. SIADH LinkIcon戻る

Q2: 低ナトリウム血症でSIADHの診断をどのようにしますか?



救急外来や救命救急センターにおけるSIADH
研修医の進化:電解質以上を認めた場合には,アセスメント<A>して下さい。朝のERカンファレンスでも,再評価します。

基本 
さまざまな病態に,ナトリウム異常,カリウム異常,マグネシウム異常,リン異常などが含まれてきます。このような,電解質異常を認めた時は放置せずに,救急科医に相談して下さい。アセスメントを必ずカルテに記載して下さい。

進化系研修医
低ナトリウム血症の診断と治療
倦怠感・意識レベル変化の1項目としてアセスメント

検査項目

■ 血漿浸透圧
■ 尿比重
■ 尿浸透圧
■ 尿電解質
■ ホルモン:救急科医と相談すること AVP,コルチゾール,レニン,アルドステロン
■ 腫瘍の評価(頭・肺・・)
■ 服用薬のチェック

 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH:Syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone)は,本来下垂体後葉から分泌されるバソプレシンの分泌亢進により発症する血圧上昇と低ナトリウム血症をきたす病態です。集合管からの水の再吸収により,血漿浸透圧が低下し,尿中ナトリウム濃度が上昇し,血中ナトリウム濃度は低下します。バソプレシンの分泌が亢進している場合と,腎集合管のバソプレシン感受性が高まっている場合の2つの病態を区分します。

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バソプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断
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主症候
1. 脱水の所見を認めない。
2. 倦怠感,食欲低下,意識障害などの低ナトリウム血症の症状を呈することがある。

検査所見
1. 低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は,135 mEq/L未満である。
2. 血漿バソプレシン濃度:血漿バソプレシン濃度が測定感度以上である。
3. 低浸透圧血症:血漿浸透圧は,280 mOsm/kg以下である。
4. 高張尿・高浸透圧尿:尿浸透圧は,300 mOsm/kg以上である。
5. ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は,20 mEq/L以上である。
6. 腎濾過機能は正常:血清クレアチニンは,1.2 mg/dl以下である。
7. 副腎皮質機能は正常:早朝空腹時の血清コルチゾール濃度は,6 μg/dl以上である。

参考所見
1. バソプレシン分泌亢進をもたらす可能性のある原疾患の診断がある。
2. 血漿レニン活性は,5 ng/ml/h以下である。
3. 血清尿酸値は,5 mg/dl以下である。
4. 水分摂取を制限で,低血圧や脱水を生じずに,低ナトリウム血症が改善する。

鑑別診断(本HPの低ナトリウム血症参照)
低ナトリウム血症をきたす次のものを除外する。
1. 細胞外液量の過剰な低ナトリウム血症:心不全,肝硬変の腹水貯留時,ネフローゼ症候群など
2. ナトリウム漏出が著明な低ナトリウム血症:腎性ナトリウム喪失,下痢,嘔吐

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バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)の基礎疾患
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1. 中枢神経系疾患:
 髄膜炎
 外傷
 くも膜下出血
 脳腫瘍
 脳梗塞・脳出血
 Guillain-Barre症候群
 脳炎

2. 肺疾患
 肺炎
 肺腫瘍
 肺結核
 肺アスペルギルス症
 気管支喘息
 陽圧呼吸(PEEP)

3. 異所性バゾプレシン産生腫瘍
 肺小細胞癌
 膵癌

4. 薬剤
 カルバマゼピン
 アミトリプチン
 イミプラミン
 クロフィブレート
 ビンクリスチン

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バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)の治療
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現疾患の治療に加えて,次のいずれかの治療を組み合わせる。
1. 原疾患の治療
2. 水分摂取量を,1日あたり15~20 mL/kgに制限する。
3. 1日200 mEq以上の食塩を投与する。3%食塩水では,0.5 mL/kg/時として,救急・集中治療管理をする。
4. 重症低ナトリウム血症(120 mEq/L以下)で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合はフロセミドを10 mgを静脈内投与し,3%食塩水では,0.5あるいは0.6 mL/kg/時として,救急・集中治療管理をする。橋中心髄鞘傷害の防止のために血清ナトリウム濃度の1日内の上昇は10 mEq/L以下とする。
5. 異所性バゾプレシン産生腫瘍が疑われる場合には,成人ではモザバプタン塩酸塩錠(バソプレシンV2受容体拮抗薬:フィズリン錠®)30 mgを1日1回として,食後に内服してもらう。投与開始3日間で有効性が認められた場合には,7日間まで継続投与する。


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